
【小6理科/化学】“化学反応レシピ”を活用しよう|中学受験のツボ[理科編]
こんにちは。
理科講師兼受験アドバイザーの山崎です。
以前、化学反応式のつくり方や考え方について紹介しました。
今回はこちらの記事の内容を掘り下げつつ、実際に問題を解くときの考え方・使い方について、いくつか例題を出しながら紹介していきます。
化学反応を使った問題は中学入試によく出題されますが、苦手な子が非常に多いようです。紹介する内容が、少しでも参考になれば幸いです。
気体の性質
化学反応の練習に入るまえに、気体に関する周辺知識の確認をしておきましょう。
ぜひ、お子さんと一緒に考えてみてください。
【例題】
気体Aと気体Bを用意しました。それぞれの気体が以下の特徴を示しているとき、AとBはどのような気体であると考えられるでしょうか。
気体A:亜鉛に塩酸を加えると発生する
気体B:過酸化水素水に二酸化マンガンを加えると発生する
気体A
気体Aは、水素ですね。
塩酸と反応する金属は「アルミニウム・亜鉛・鉄」、反応しない金属は「銅・銀・金」です。
これらをお子さんが覚えているか、確認しておきましょう。
塩酸に反応する金属から発生する気体は、いずれも水素です。
また、水酸化ナトリウム水溶液と反応する金属は「アルミニウム・亜鉛」、反応しない金属は「鉄・銅・銀・金」です。
こちらも、お子さんに確認してみてください。この場合も、発生する気体は水素です。
気体B
気体Bは、酸素です。
このときの反応式は、以下の通りです。
過酸化水素水 → 酸素+水
二酸化マンガンは「触媒」としてはたらいています。「レバー」でも代用できますね。
触媒は、反応の進行を促進させる役割をしているもので、反応前後でほかの物質に変化しません。
塩化水素・アンモニア・二酸化炭素
ほかに知っておいて欲しい気体は、「塩化水素・アンモニア・二酸化炭素」です。
塩化水素・アンモニア
塩化水素を水に溶かしたものが塩酸ということを覚えておきましょう。
塩化水素とアンモニアを混ぜると「白い煙」が発生します。このこともよく出題されるのでチェックしておきたいですね。
二酸化炭素
二酸化炭素は、つくり方をぜひ覚えておいてください。
塩化水素と石灰水を混ぜると、二酸化炭素が発生します。
石灰石+塩化水素 → 塩化カルシウム+二酸化炭素+水
石灰石の主成分は「炭酸カルシウム」で、黒板のチョークや貝殻に含まれています。
重そうと塩化水素を混ぜても、二酸化炭素が発生します。
重そう+塩化水素 → 塩化ナトリウム+二酸化炭素+水
重そうは「炭酸水素ナトリウム」という物質で、台所の掃除などに使われていますね。
重そうを加熱することで、二酸化炭素が発生します。
重そう → 炭酸カルシウム+二酸化炭素+水
重そうは、ベーキングパウダーにも含まれています。なので、ホットケーキをふくらますときにも同様の反応が起きています。
化学反応の練習
では、化学反応についての問題を解いていきましょう。
【問題1】
水素と酸素を反応させると、ある液体ができます。
それは何ですか?
正解は「水」です。
【問題2】
水素と酸素の体積を変えながら反応させ、このときに発生した水の重さや、反応しないで残った気体の体積について考えてみます。
反応結果を表にしたところ、以下のようになりました。(あ)~(お)にあてはまる数値を答えなさい。
まずは、先日の記事「【小6理科/化学】化学反応は「カレーライス」で解決!?」の内容を思い出してみましょう。
化学反応は、“カレーライス”をイメージすることで解決できましたよね。
今回の問題に関しては、
カレーのルー1個につき、水250g
これで、美味しいカレーライスが1人前完成するとします。
表を見ると、水素の体積2.0Lと酸素の体積1.0Lが反応すると、水が1.6g生じることがわかります。
これを「ルー2個+水500g → カレーライス2人分」と考えるとします。
すると、水素1.0L+酸素1.0Lだと「ルー1個+水500g」ということになり、水が多いことになってしまいます。
ルー1個であれば、水は250gあればいいですよね。
カレーライスをつくるために使う水は250g。残り250gの水は余り、カレーライスは1人前しかつくれません。
カレーライス2人前が水1.6gにあたるので、1人前はその半分。ですから、発生する水は0.8gです。
したがって(あ)は「0.8」となります。
水素1.0Lと反応する酸素は0.5Lなので、残り0.5Lは反応せずに残ります。
ですから(い)は「0.5」になります。
同様に(う)に入る数値を考えていきます。
水素2.0Lで水が1.6g生じるので、必要な酸素は1.0Lです。
表を見ると、反応しないで残った気体が1.0Lあるので、酸素が1.0L余っています。ということは、反応した酸素と余った酸素を合わせて2.0L。これが反応前の酸素の体積です。
ですから(う)には「2.0」が入ります。
最後に(え)と(お)について考えます。
反応前の水素は3.0Lです。これと反応する酸素は1.5Lです。
水素2.0Lと酸素1.0Lで、水が1.6g発生していました。
今回は水素が3.0Lと、1.5倍になっています。発生する水も1.5倍なので2.4g。
ですから(え)は「2.4」となります。
このときに必要な酸素も1.5倍なので、反応した酸素は1.5L。
反応前の2.0Lから反応した1.5Lを引いて、0.5L。これが反応せずに残った酸素です。
したがって(お)には「0.5」が入ります。
答え:
(あ)0.8
(い)0.5
(う)2.0
(え)2.4
(お)0.5
※記事の内容は執筆時点のものです
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