
【小6理科/物理】凸レンズの作図は「3つのルール」を意識して取り組もう|中学受験のツボ[理科編]
こんにちは、倉石です。
「凸(とつ)レンズ」が苦手な受験生は少なくありません。
凸レンズだけでなく、物理の分野が苦手な受験生の多くが、そもそも基本的な事柄から理解できていません。
今回は、凸レンズの基本である「作図の仕方」について説明していきます。
作図さえできれば、どこに、どんな像ができるのかも求めることができますよ。
凸レンズの作図の「3つのルール」
凸レンズの作図には、凸レンズの3つの性質を使います。
凸レンズの3つの性質
① レンズの中央を通る光は直進する
② 光軸に平行に入った光は焦点を通る
③ 焦点を通った光は光軸に平行に進む
この「3つのルール」に従って光の道筋を作図していけば、どこに、どんな像ができるかわかります。
物体を置く場所によって、できる像の種類や大きさ、向きも異なります。
ここでポイントとなるのが「焦点距離」です。
焦点距離
焦点距離とは、凸レンズから焦点までの距離のこと。
これを2倍したのが「焦点距離の2倍の位置」となります。
注目したいのは、焦点距離や、焦点距離の2倍の位置と比べてどこに物体を置くか、ということ。
これによって、できる像が異なるのです。
作図の仕方
それでは、像の種類ごとに作図の仕方を説明します。
- 実像ができるとき
- 虚像ができるとき
実像ができるとき
まず、焦点の外側に物体を置いてみましょう。
このとき、2通りの場所が考えられます。
(1)レンズから見て、焦点距離の2倍より遠い
(2)レンズから見て、焦点距離の2倍より近い
それぞれの場合について、作図しながら見ていきます。
(1)焦点距離の2倍より遠くに置く場合
まずは、焦点距離の2倍よりも遠くに物体を置いた場合について考えましょう。レンズから離れた位置になりますね。
先ほどの3つの性質に従って光の道筋を書いていくと、次のようになります。
凸レンズの3つの性質
① レンズの中央を通る光は直進する
② 光軸に平行に入った光は焦点を通る
③ 焦点を通った光は光軸に平行に進む
上記の図のように、レンズより右側で、焦点距離の2倍よりもレンズに近い位置に光が集まります。
したがって、この場所に実像ができます。
この場所にスクリーンを置くと、物体の像を見ることができます。
また、この実像は上下が逆さまになっていますね(この図からはわかりませんが、左右も逆さまになっています)。
このように、上下左右が逆さまになっている実像を「倒立実像(とうりつじつぞう)」といいます。
最後に、像の大きさに注目しましょう。
実際の物体よりも小さくなっているのがわかりますね。
【まとめ】
焦点距離の2倍よりも遠い位置に物体を置くと……
- 焦点距離の2倍よりも近い位置に
- 実際の物体よりも小さい
- 倒立実像
ができる。
上記のことを、いちいち暗記する必要はありません。
自分で簡単な図を描いて求められるようにすれば良いでしょう。
(2)焦点距離の2倍より近くに置く場合
次に、焦点距離の2倍の位置と焦点の間に物体を置いた場合について考えます。
今度は、レンズに近い位置になりますね。
先ほどと同じように光の道筋を書くと、次のようになります。
この図に、少し違和感を覚えるかもしれません。「③」の光が凸レンズを通っていませんよね。
実はこれ、問題ありません。
たしかに「③」の道筋を通る光は存在しません。しかし「像がどこにできるか」を考える際には、仮想的にレンズを伸ばして考えても問題がないのです。
では先ほどと同じように、像の種類・位置・大きさを見ていきましょう。
実際に光が集まって像ができていて、上下左右が反対になっているので「倒立実像」ということになります。
像の位置は、焦点距離の2倍よりも遠くなっています。
像の大きさは、実際の物体よりも大きいですね。
【まとめ】
焦点距離の2倍よりも近い位置と焦点距離の間に物体を置くと……
- 焦点距離の2倍よりも遠い位置に
- 実際の物体よりも大きい
- 倒立実像
ができる。
虚像ができるとき
今度は、焦点の内側に物体を置いてみましょう。
今度も3つのルールに従って、光の道筋を書いていきます。
凸レンズの3つの性質
① レンズの中央を通る光は直進する
② 光軸に平行に入った光は焦点を通る
③ 焦点を通った光は光軸に平行に進む
すると「③」の光が描けません。焦点よりも内側に物体がある場合には、焦点を通った光は存在しないからです。
ですから「①」と「②」の光のみを描くと、次のようになります。
このふたつの光は、進むにつれてどんどん離れていってしまいます。
光が交わらない、つまり“実像ができない”のです。
では像ができないのかというと、そうではありません。
この「①」「②」の光を逆向きに伸ばしていくと、下の図のように1点で集まります。
これをレンズの右側からのぞくと、人間の目には、この交わった点から光が出ているように見えます。つまり、その交わった点の位置に物体があるように見えるのです。
このように、実際に光が集まってはいないものの、あたかもそこから光が出ているかのように見える像のことを「虚像(きょぞう)」といいます。
そしてこの像は、上下(左右)の向きはそのままなので「正立虚像(せいりつきょぞう)」といいます。
像の大きさは実際の物体よりも大きく、像の位置は物体と同じ側です。
ちなみに虚像は、虫眼鏡をのぞいたときに見えているものです。虫眼鏡も凸レンズでできているのですね。
【まとめ】
焦点距離の内側に物体を置くと……
- 物体と同じ側で、焦点から見て物体の外側に
- 実際の物体よりも大きい
- 正立虚像
ができる。
まとめ
今回は、凸レンズの作図の仕方を説明しました。
まずは、紹介した図を自力で描けるようになることが大切です。そうすることで、どこに、どのような像ができるのかを求めることができます。
凸レンズが苦手な子に対しては、まずは基本に立ち返り、作図の仕方から復習するように声をかけてあげましょう。
※記事の内容は執筆時点のものです
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