改革を成功させている学校の真の凄さ|三田国際学園学園長 大橋清貫の「選びたい教育」(16)
前回は「学校改革は生徒・学生の高い満足感に繋がる授業をどのように実現していくか、そのために学校をあげて十分研究して体制を整えていくことができるかどうかにかかっている」そんな内容でした。今回、学校はその授業をどのように実現していこうとしているのか。そのあたりを一緒にお考え頂けたらと思います。
学習者の学びの姿勢を変える
新学習指導要領では「主体的・対話的で深い学び」という言葉が使われています。それがすなわちアクティブ・ラーニングということではないかもしれませんが、アクティブ・ラーニングがその有力な授業法であることは確かです。学校現場はいよいよその実現に向けて走り出したところです。このことがこれまでの教育とどこが違うのかといえば、学習者の学びの姿勢が主体的になっていることです。言い換えれば自ら考える姿勢になっている。自ら考える姿勢になる前は、やはり「理解して憶える」ことが学習の中心になってしまいます。それゆえに「正解と正解への道の再現可能性の習得」が学習の王道でした。もちろんそれ自体は何ら問題もないですし、むしろこれからも必要なことです。問題はこの先にあります。「唯一の正解が決まっていない問題・課題」に対しての対応力です。アクティブ・ラーニング型学習の学びの世界を知らない場合、2020年大学入試というより、変化の激しい社会への対応能力に課題を残すことになっていくと思います。なぜなら社会の需要が「変化の激しい社会への対応能力」に集まっていくからです。
解なき問いを深く考える
アクティブ・ラーニングの手法の中にPBL(Problem/Project Based Learning)と呼ばれる授業があります。生徒の学びの姿勢・意欲をアクティブにするために、教員は生徒・学生が興味深く考える仕掛けをしていきます。解なき問いを投げかけていくのです。解がないのですから、生徒・学生は自分独自の見解を見出していきます。そこには、直感やどこかからか持ってきた知識ではなく、ほかの生徒や学生を説得させるだけの深い思考があることが大切です。考え抜かれた独自の見解の合理性、論理性などがほかの学習者の共感を得ていきます。その思考の過程こそ大いなる学習となります。ほかの学習者の同意や称賛は時に充実感や達成感となり、著しい成長実感となっていきます。それこそこの学びの優れた点です。
アクティブ・ラーニングの成果は大きい
学校がこの学習者の学びの姿勢をアクティブにするのか、従来型のパッシブなままなのかで、その過ごす年月での成果に大きな差が生じると思います。学校改革を成功させている学校の真の凄さはここにあります。そこに至るまでの学校の先生方の努力は相当なものがあったはずです。次回はこの教授法の本当の凄さや特徴などをご紹介したいと思います。そう簡単には到達できないのがこの授業の難しいところです。同時に成功した場合の成果は大げさではなく絶大です。
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