学習 連載 中学受験のツボ[理科編]

【小5理科/地震】震源の位置を突き止める「大森公式」|中学受験のツボ[理科編]

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2024年2月12日 伊丹龍義

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保護者向けに中学受験の4教科のツボを解説。
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国語算数社会

地震が起こると、たいてい5分以内には地震速報が出ますよね。

そして「各地の震度」や「地震の規模(マグニチュード)」、さらには、どこで地震が起こったかという「震源の位置」も発表されます。

でも、地震は地下深いところで起こるので、地震が起こっている場所を直接見ることはできません。

では、「震源の位置」はどのように突き止めているのでしょうか?

 

実は、その震源の位置を特定するために使う「大森公式」という公式があるのです。

2種類の揺れ

問題

地震の「2種類の揺れ」ってなに?

 

地震の揺れは、大きく次のふたつに分けられます。

初期微動(しょきびどう)
地震の初期に来る揺れ。主要動に比べると弱い(微細な)動きをする

主要動(しゅようどう)
初期微動の後から来る揺れ。いわゆる“地震のメインの動き”

 

このふたつの揺れは、伝わる時間だけでなく、揺れ方も異なります

 

初期微動は「縦揺れ」という揺れ方です。簡単にいうと、地面が上下に動くことが多い揺れ方ですね(※)

それに対し、主要動は「横揺れ」という揺れ方です。地面が左右に揺れることが多い揺れ方をします。

 

この縦揺れと横揺れは、それぞれ一定の速さで伝わってきます。ところがその速さは異なるため、揺れが伝わってくる時刻に差が出ます

そして、この時刻の差に注目し、揺れを観測した地点から、震源までの距離を調べる公式が「大森公式」なのです。

※本来は、波の進行方向と同じ向きの振動が「縦揺れ」、進行方向に垂直な向きの揺れを「横揺れ」といいます。ただし多くの場合、縦揺れは地面が上下に動くことが多く、横揺れでは地面が左右に揺れることが多いため、ここではこのような書き方をしています

解答

初期微動・主要動

 

大森公式

問題

大森公式の算式は?

 

たとえば、縦揺れが秒速8km横揺れが秒速4kmで伝わるとします。

 

このとき、震源からの距離がx kmの地点では、縦揺れは地震の発生から(x÷8)秒後に伝わります

そのあと、地震の発生から(x÷4)秒後に横揺れが伝わることになります。

そして、この時間の差は(x÷8)秒となります(※)

 

この地点で、縦揺れが始まってから、横揺れが始まるまで5秒かかったとします。

すると、x÷8=5なので、x=40kmとなりますね。

 

このように、伝わった時間の差をもとにして「震源までの距離」を求められるのです。

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伊丹龍義

伊丹龍義

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SRP教育研究所 所長。自身の塾で中学・高校受験、中高一貫校サポートを担当。教育格差解消と学習の効率化のため廉価に、そして自分のペースで見られ、電子辞書代わりにも使える映像授業に積極的に参加。学びエイド鉄人講師・家庭教師のトライ「TryIT中学理科」、同トライのオンライン集団ライブ授業(小学算数・中学数学・中学理科)担当。「観てわかる中1理科」(小学館)映像担当、その他、学習塾・参考書の映像授業担当多数。個人として「たこやきまるめがね」名義でYouTubeで中学受験算数・理科の映像授業準備中。プログラミング・ゲーム・パズルを教育現場に広める活動中。クイズ番組等の問題作成・監修多数。