学習 連載 中学受験のツボ[理科編]

【小5理科/生物】受粉から受精までのプロセス ―― 植物の”恋物語” を覗いてみよう|中学受験のツボ[理科編]

専門家・プロ
2024年2月15日 山崎翔平

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保護者向けに中学受験の4教科のツボを解説。
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国語算数社会

理科講師兼受験アドバイザーの山崎です。

前回の記事では、植物のなかでも特に魅力的な部分である「花」の構造と、その機能を整理しました。

今回は、受粉から受精までのプロセスに絞って解説します。

受粉のプロセス ―― 花粉の生成と移動

まずは、次の2点について見ていきましょう。

  • 花粉はどのようにつくられるか
  • 花粉はどのように移動して、受粉へとたどりつくのか

 

植物の生命サイクルにおいて、受粉はまるで“恋の物語”のような魅力的な段階です。

 

おしべの「やく」でつくられる花粉は、遺伝情報を含んでおり、植物の生殖に不可欠なものです。

そして、花粉は風や虫、ときには水や動物によって運ばれますが、こうした移動は植物が生きていくために重要です。

たとえば「風」によって受粉をする植物の花粉は、軽くて乾燥しています。そのため、風に乗って遠くまで飛んでいけるのです。

では、虫と風による、それぞれの受粉のメカニズムを見てみましょう。

1、虫による受粉の特徴

虫たちは「花の蜜」を求めて訪れ、その過程で花粉を次の花へと運びます。まるで、自然の郵便屋さんのようですね。

植物は、昆虫を引き付けるために様々な戦略を使います。

例:鮮やかな色、特有の香り、甘い蜜、特定の花の形をしている
(こうした特徴は、特定の昆虫を対象として進化してきた)

 

昆虫は花の蜜や花粉を食料として利用しますが、この際、昆虫の体に花粉が付きます

その後、昆虫が別の花を訪れるときに、この花粉が新しい花のめしべに移動し、受粉がおこなわれます。

受粉の確率を高める工夫

一部の植物と昆虫は互いに強く結びついており、それぞれに特化した受粉関係を形成しています。

たとえば、ある種のハチやチョウは特定の花の形状や色に特化しており、これらの花にもっとも効率的に受粉をおこないます。

このような“特化”は、受粉の成功率を高め、植物が生き抜き、繁殖するうえで不可欠です。

虫による受粉の重要性

虫による受粉は、多くの植物種の生存にとって重要です。

また、多くの昆虫・動物種の食料である、リンゴ、桃、梨、キュウリ、トマト、アーモンドのような果物や、野菜の多くは、虫による受粉でつくられます。

人間にとっても、虫による受粉は非常に大切です。なぜなら多くの農作物の栽培は、虫による受粉を利用しているからです。

そのため受粉がなければ、食料生産に大きな影響が出る可能性があります。

 

虫による受粉は、単に植物が繁殖するためのプロセスの一部、というだけではありません。実は、

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山崎翔平

山崎翔平

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SRP教育研究所 学習アドバイザー。(株)amici 学習アドバイザー。元アオイゼミ講師。首都圏および九州の学習塾などで理科の指導をする傍ら、学習アドバイザーとして、学習方法や学習習慣づけの指導も行っている。 高校受験、中高一貫校、大学受験、医学部受験も担当とし、小学校範囲にとどまらない、小中高一貫指導を得意とする。 「なぜ」を大切にし、身のまわりの現象を「ひもとき」体系的に指導し、楽しくなきゃ勉強ではない、続けることが大事だというのがモットー。