【理科/2024入試分析<1>】注目の問題をピックアップ! 時事問題への関心を高めよう|中学受験のツボ[理科編]
2024年度の中学入試のなかで注目の問題をピックアップしつつ、理科の入試傾向を2回に分けて紹介します。
今回は第1回目として、「地震」と「月」という定番の出題テーマをもとに2024年入試の特徴を解説します。
その年に話題になったテーマの出題が多かった
2024年入試の理科の特徴として挙げられるのが、その年に話題になったテーマの出題が多かったことです。
この傾向は今年だけではなく、例年、その年に話題になったことは多くの学校で出題されますが、今年もその傾向が引き続き見られました。
多くの受験生は6年生の11月以降に「時事問題」の基礎知識を身につけますが、入試では基礎知識だけが問われるわけではありません。
実際には、リード文(問題の最初に書かれる説明文)をもとに考える、つまりリード文に書かれている内容に興味をもち、その場で考えられるか? を試す問題が多いんですね。
そのため、こうした練習を積んでいない生徒にはかなり難しい問題に感じられるでしょう。
時事問題の学習というと“丸暗記”というイメージをもつ受験生が多いですが、まずは時事問題について主体的に学習しつつ、興味・関心をもってさらに調べていくことが大切です。
こうした学習をしていくことで、入試でも点を取りやすくなります。
2024年入試の特徴的な問題
2024年の理科の入試では、例年と同じく、時事問題と絡めた出題が多く見られました。
ここでは「地震」と「月」のふたつのパターンに分けて、その出題傾向と対策を紹介します。
パターン1:地震(関東大震災から100年目)
2023年は、関東大震災(関東地震)が起きてから100年目の年でした。
そのためか、「地震」をテーマとした問題が全国的に多く出題されました。
たとえば、麻布中学もそのひとつです。
地震について特別な知識が必要な問題ではなく、一般的な内容の出題でしたが、地層の傾きを調べる方法である「クリノメーター」の説明と、その読み取り問題が出されました。
一般的な学習では「地層が傾いている」という結論を押さえるだけで済ませがちですが、それを調べる方法まで取り上げている点で特徴的な出題といえるでしょう。
そしてこれだけで終わらず、岩石のなかの鉱物を観察するときの「薄片(はくへん)の作成」の問題へとつながっていました。
こちらもほとんどの生徒には初見の内容だったかと思いますが、興味をもって問題文を読み進め、解き明かしていけば点数を取れる問題でしたね。
時事問題への好奇心と考察力を育てよう
関東大震災については、雙葉中学でも出題されました。
防災の日と絡めた「日付」の問題や、関東大震災で大きな影響を受けた「江の島の地層」についてなど、時事問題の学習で出てくる内容が多いタイプの問題でした。
学校にもよりますが、こうした歴史的なテーマの出題に対応するためには、時事問題としての知識だけでなく、その時事問題に対しての好奇心・考察力を身につけることも大切です。
ちなみに2024年は、阪神甲子園球場の100周年にあたる年でもあります。
パターン2:月(スーパーブルームーン)
2023年8月31日の満月は、いわゆる「スーパーブルームーン」でした。
月と地球との距離が近いときの月は「スーパームーン(※)」と呼ばれ、1ヶ月のあいだに満月が2回見えるときの2回目の月を「ブルームーン」と呼びますが、これらが重なることが非常に珍しいということで話題になりました。
※スーパームーンは、正確な理科用語とは言えません
そして、このことを題材にしたのが開成中学の問題です。
問題文のなかで用語の説明があり、「科学的にはあまり意味はない」ということにも触れていましたが、「このような内容にも関心をもってほしい」という先生方の思いが表れた問題だったように思います。
月については、女子学院中学でも出題されていましたね。
2024年は天体分野の話題が少なめですが、夏以降に「土星食」、冬には「スピカ食」が起こるので、興味がある子は調べておきましょう。
まとめ
2024年の理科の入試から「時事問題」を取り上げつつ、特徴的な問題をいくつか紹介しました。
時事問題は知識が求められるケースが多いですが、長いリード文を読み取ったうえで、その場で考えさせる問題も多く出題されます。
このような問題の対策としては、次のふたつが効果的です。
- 時事問題を学習するときは、さまざまな内容に興味をもつ
- 気になることがあれば、自分で予想したあとに調べる
遠回りに思うかもしれませんが、こうしたことを繰り返すことが大切です。
『時事問題集』が発刊される11月頃になると入試までの残り時間が少なく、こうした遠回りの学習に取り組みにくくなります。
だからこそ、気になるニュースや、話題になっていることがあれば、ぜひ今のうちから主体的に学んでいくようにしましょう。
※記事の内容は執筆時点のものです
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