学習 連載 中学受験のツボ[国語編]

【小5国語/随筆文】体験と感想をもとに「随筆文の構造」を理解しよう|中学受験のツボ[国語編]

専門家・プロ
2024年5月04日 住岡大輔

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保護者向けに中学受験の4教科のツボを解説
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算数理科社会

こんにちは、NPS成田予備校の住岡です。

今回のテーマの「随筆文」は、多くの子が苦手なジャンルです。

点数が取りにくいことでも有名ですが、だからこそ「どうにかしたい」と思う家庭も多いのではないでしょうか。

ここでは読解のポイントを踏まえて随筆文の対策方法をアドバイスしますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

それではいきましょう!

随筆文のふたつのパターン

随筆文の特徴は、何をメインに書いているかによって読み手の印象がガラリと変わることです。

具体的には、次のふたつに分けられます。

説明的随筆文……「筆者の意見」がメインに書かれている
物語的随筆文……「エピソード」がメインに書かれている

 

一方で、説明的随筆文・物語的随筆文ともに共通して書かれるのが「体験」と「感想」です。

体験として書かれているのは、次のような内容です。

  • 昔を回想する(筆者の子供の頃など)
  • 大人になってからの出来事を思い返す

 

そして感想のパートにおいて、こうした体験に対して現在の筆者がどのように考えているか? が明らかにされます。

 

説明的随筆文

説明的随筆文においては、「体験」が具体例として取り上げられたあと、「感想」の部分でそれらを批判的に述べる文章が少なくありません。

「だから私は~~と思う」といった筆者の主張が入るのも特徴で、「具体例的体験 + 批判 + 主張」という構成になっているため“説明文”に似ているともいえるでしょう。

物語的随筆文

物語的随筆文では「体験」となるエピソードが心情表現を豊かに使って表され、感想においても心情に重きを置いた文章になっています。

心情や情景描写が多いことから“物語文”のような印象を受けるでしょう。

 

随筆文の読み方 ―― 構造を分析しよう

随筆文の読み方は「構造を分析すること」に尽きます。

具体的には、どこからどこまでが「体験」の話で、どこからどこまでが「感想」の話なのかをしっかりと見極めることが大切です。

 

体験の部分では、過去を振り返ったり、最近起きた出来事が述べられたりするため、非常に具体的な内容が書かれます。

一方で感想に関しては、主張になったり心情になったりするものの、基本的には“思ったこと”なので、ある程度漠然としており、抽象的な内容が書かれます。

 

ここで、鋭い人は気付いたのではないでしょうか。

体験と感想を見極めるということは、イコール「具体と抽象」の話なのではないか、と

まさしくそのとおりです。

随筆文の肝となる部分(注意して読み取るべき部分)は「具体と抽象」なんですね。

 

随筆文の対策方法

随筆文の対策として、私は生徒たちに次のステップで取り組ませています。

1、具体と抽象がはっきりとしている説明文を使って、具体と抽象の復習をみっちりとおこなう

2、復習のときはメモや要約を必ず書き、どこに体験や感想があり、どのような内容だったのかを明確化する

3、随筆文だということを伝えず、説明的随筆文に取り組ませる

4、「2」と同じやり方で、メモや要約を書きながら解く

5、「3」と同じく、随筆文だと伝えずに物語的随筆文を渡し、過去のエピソードと現在の自分との時間軸を明らかにする

6、過去のエピソードは何を伝えていて、現在の自分はどういう気持ちになっているか答えさせる

 

苦手なジャンルを解くときは、“苦手だと気付かせないようにする”ことがポイントです。子供にキラいな食材を食べさせるのと同じですね。

説明文でも随筆文でもやり方は変えず、同じ方法で取り組めば解くことができるんだ、という成功体験を与えることも重要です。

 

今回紹介したやり方をもとに、随筆文の苦手克服を目指してみてくださいね!

 

随筆文については、以下の記事でも解説しています。

※記事の内容は執筆時点のものです

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