学習 連載 中学受験のツボ[理科編]

【小5理科/化学】水素を発生させる金属たち|中学受験のツボ[理科編]

専門家・プロ
2024年6月07日 倉石圭悟

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保護者向けに中学受験の4教科のツボを解説。
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こんにちは、倉石です。

中学受験の理科にはさまざまな気体が登場します。そして、それぞれの気体を発生させる反応もよく問われます。

そのなかでも「水素が発生する反応」は、反応する物質の組み合わせが少し複雑です。

今回は、そんな水素が発生する反応について説明します。

水素の性質

まずは、水素の性質から確認していきましょう。

水素の主な特徴は、次の4つです。

  1. 最も軽い気体である
  2. 空気中で音を立てて燃える
  3. 無色無臭である
  4. 水にはほとんど溶けない

なお、水素のような“水に溶けにくい気体”を集めるときは「水上置換法」を使います。

 

水素は、塩酸や水酸化ナトリウム水溶液に「一部の金属」を入れると発生します

「一部の金属」と表現したのは、金属の種類によって、塩酸や水酸化ナトリウムと反応するものと、反応しないものがあるからです。

それでは、これらの金属について、もう少し詳しく見ていきましょう。

金属と水溶液の組み合わせ

金属と水溶液の反応について、中学受験の理科では、主に4つの金属2つの水溶液が登場します。

4つの金属……アルミニウム、亜鉛、鉄、銅
2つの水溶液……塩酸、水酸化ナトリウム

 

まずは4つの金属ごとに、水溶液と反応して水素が発生する組み合わせを説明します。それぞれ、どの水溶液と反応するかを頭に入れましょう。

アルミニウム

アルミニウムは、塩酸にも、水酸化ナトリウム水溶液にも反応します

アルミニウムと塩酸が反応すると水素が発生し、固体の塩化アルミニウムが水に溶けます。

塩化アルミニウムは白い個体で、金属ではないので電気を通しません。

亜鉛

亜鉛は、塩酸とは反応します

水酸化ナトリウム水溶液とは、常温(室温と同じくらいの温度)だと反応せず、熱したときのみ反応します

鉄は塩酸には反応しますが、水酸化ナトリウム水溶液には反応しません

鉄と塩酸が反応すると、水素が発生し、固体の塩化鉄が水に溶けます。

塩化鉄は黄色い個体で、塩化アルミニウムと同じく金属ではないので電気を通しません。

銅は、塩酸にも、水酸化ナトリウムにも反応しません

銅は金属のなかでも、ほかの水溶液などと反応しづらい金属です。

中学受験ではあまり登場しませんが、硝酸(しょうさん)や、特定の条件下の硫酸(りゅうさん)などとは反応します。

そのほかの金属

ここまで4つの金属について説明してきました。

それでは、そのほかの金属を塩酸や水酸化ナトリウム水溶液に入れると、どうなると思いますか?

ここからは中学受験では直接問われることは少ない内容なので、興味のある方は読み進めてください。

マグネシウム

マグネシウムは、金属の燃焼などでよく登場する金属です。

そんなマグネシウムは、塩酸とは反応しますが、水酸化ナトリウム水溶液とは反応しません

実は、水酸化ナトリウムのようなアルカリ性の水溶液と反応する金属は少ないのです。ですからマグネシウムや鉄のように、塩酸とは反応するものの、水酸化ナトリウム水溶液とは反応しない金属も多くあります。

その点では、水酸化ナトリウム水溶液と反応するアルミニウムや亜鉛は、かなり“特殊な金属”と言えますね。

金・銀

金や銀は、銅と同じく、ほかの水溶液などと反応しづらい金属です。ですから、塩酸とも、水酸化ナトリウム水溶液とも反応しません

ちなみに「銅は、硝酸や、特定の条件下の硫酸などとは反応する」と先ほど説明しましたが、銀はこれらの水溶液とは反応する一方で、金は反応しません。

金が高価なのは、こうした“反応のしづらさ”も理由のひとつです。

まとめ

今回は「水素が発生する反応」について説明しました。

受験対策としては、まずは水素が発生する金属と水溶液の組み合わせを頭に入れておきましょう。

以下の記事では、水素の特徴と、その興味深い歴史について紹介しています。こちらも合わせてチェックしてみてくださいね。

※記事の内容は執筆時点のものです

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