学習 連載 中学受験のツボ[社会編]

【小4社会/都道府県】特徴のある地形のまとめ|中学受験のツボ[社会編]

専門家・プロ
2024年7月12日 井上佳之

0
保護者向けに中学受験の4教科のツボを解説
- 社会以外の3教科はこちら -

国語算数理科

こんにちは、井上です。

4年生の子は、中学受験の社会を学び始めてから最初の夏期講習をむかえますね。

前期では、都道府県や、地図の読み方、さまざまな気候・地形の特徴を学習したと思います。

今回は、都道府県の知識の重要ポイントでもあり、今後も繰り返し問われる可能性がある「特徴のある地形」の重要ポイントをまとめて紹介します。

低い土地

まずは、低い土地の特徴から見ていきましょう。

地形・気候

低い土地には、以下のような場所があります。

  • 大きな川の下流(水量が多くなる)
  • ゼロメートル地帯(地下水を汲みあげ過ぎたことで地盤沈下が起こり、海面=0mより低くなった場所)

 

農林水産業

大きな川の下流では、大雨による洪水が起こりやすいという問題や、湿田(水量が多い水田)では耕作作業がしづらいという問題もあります。

そこで「治水(ちすい/洪水を防ぐ工事)」や、水を逃がすことで湿田を乾田に改良する「あんきょ排水」などの工夫をしている様子がよく見られます。

利根川の下流域では、台風による稲の被害を避けるため、耕作時期を早めることで早く収穫をする「早場米(はやばまい)」が栽培されています。

代表的な地名

低い土地の代表的な場所を、キーワードも含めて紹介します。

信濃川・越後平野……あんきょ排水、分水路
利根川・筑後川……水郷(クリーク)
東京湾沿い……ゼロメートル地帯
木曽三川(きそさんせん)……輪中(わじゅう)

 

高い土地

高い土地の特徴を紹介します。

地形・気候

高い土地として知られる、浅間山のふもとの嬬恋(つまごい)村や、八ヶ岳のふもとの野辺山原のような火山のふもとにある高原には、栄養分の少ない「火山灰土(かざんばいど)」が広がっています。

こうした場所は標高が高いため夏でも涼しいですが、冬には平均気温が氷点下になるときもあります。1年の3分の2は霜がおりる、きびしい気候です

農林水産業

嬬恋村や野辺山原では、夏でも涼しい気候を活かして、レタス、はくさい、キャベツなどの野菜を時期をずらして栽培しています。

こうした野菜は「高原野菜」と呼ばれます。

■高原野菜づくりの工夫

1、フィルムで覆われた畑に植えられる
気温の変化や、風で土が飛んでしまう被害、乾燥などから野菜を守るため

2、栄養の少ない土地(火山灰地)で栽培するための工夫

  • 植える作物を1年ごとに変える「輪作」をおこない、連作による障害を防いでいる
  • “たい肥”による土地改良もしている

3、あえて出荷をせず、とれた野菜をトラクターでつぶしてしまうことがある
時期をずらして生産し、高い価値をもっている高原野菜も、たくさんとれすぎると出荷量が増えて値段が下がってしまう。この状況は「豊作びんぼう」と呼ばれる

4、コールドチェーン
野菜を最適な時期に出荷できるように予冷庫(よれいこ)で冷やしておき、高速道路を利用しつつ、冷蔵庫つきのトラックで東京などの大都市に出荷する

 

代表的な地名

低い土地の代表的な場所を、キーワードも含めて紹介します。

嬬恋村(群馬県)……浅間山のふもとで高原野菜の栽培
野辺山原(長野県)……八ヶ岳のふもとで高原野菜の栽培

◎高原野菜づくりの工夫=輪作・土地改良/予冷庫・コールドチェーン

 

続きは会員の方のみご覧いただけます

0
井上佳之

井上佳之

  • 専門家・プロ
  • この記事の著者

学習塾伸学会講師。中学受験講師歴は30年に及ぶ。教室や地域の責任者として受験指導、保護者説明会・面談対応、カリキュラム・教材の作成等に携わる。東京・神奈川・埼玉・千葉の御三家をはじめとする、ほぼ全ての難関校に生徒・保護者を送り出した経験をもつエキスパート講師。社会科は、これから大人になる生徒の生きる力にもなりうる科目であり、家族の会話を豊かにし、他科目の学習意欲にも火をつける魔法の力を秘めていると考えている。