学習 連載 中学受験のツボ[社会編]

【小4社会/地域とくらし】瀬戸内地方の特徴は? 気候を活かした「くらしの工夫」も|中学受験のツボ[社会編]

専門家・プロ
2024年9月06日 吉崎 正明

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保護者向けに中学受験の4教科のツボを解説
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国語算数理科

こんにちは、吉崎です。

今回は「地域とくらし」をテーマに、瀬戸内地方について紹介します。

私は2024年の4月に神戸に、昨年は夏前に広島にも行ってきました。

神戸は近畿地方のため瀬戸内地方には含まれませんが、「瀬戸内式の気候」という特徴があるので、今回の話にもちょっとだけ名前が登場します。

瀬戸内地方の気候

瀬戸内海に面した県を、まとめて「瀬戸内地方」といいます。

瀬戸内地方は温暖な気候として知られています。降水量が少ないことも大きな特徴ですね。

降水量が少ないのは、中国山地や四国山地などがあるため、季節風の影響を受けにくいからです。

合言葉は「山にぶつかったら雨が降る」ですね。

季節風の影響と降水量の関係は次の記事で解説しているので、あわせてご覧ください。

【小4社会/日本の気候】日本海側・瀬戸内・中央高地の気候を確認しよう!|中学受験のツボ[社会編]
https://katekyo.mynavi.jp/juken/40486

瀬戸内地方のくらし

温暖で降水量が少ない瀬戸内地方では、こうした特色を活かしたくらしをしています。

小麦の生産

香川県は水不足によって米の生産が毎年安定しないことを心配し、小麦の生産に力を入れました。小麦は、お米ほど水が必要ないからですね。

その小麦を原料につくったのが、うどん。「讃岐うどん」は香川県の名物ですが、香川県では塩の生産もさかんです。

うどんの原料は香川県内で自給自足していた、ということを覚えておくと、うどんを食べたときの印象も変わってくるかもしれません。

ため池

水不足の対策として、香川県では「ため池」もたくさんつくられました。吉野川からは香川用水も引いており、最大限の水不足対策がおこなわれています。

現在、香川県内のため池の数は約12000ヶ所。2000年頃は約14000ヶ所だったので、埋め立てなどによって減少したことがわかります。

「ため池といえば香川県」という認識でOKなのですが、ため池数がナンバーワンの県は香川県ではありません。

なんと1位は兵庫県で、その数は約24000。香川県の2倍です。

兵庫県は香川県と同じく瀬戸内式の気候のため、水不足を防ぐためにため池が多くつくられているのです。

兵庫県の面積は全国12位で、日本一面積がせまい香川県の約4.5倍。これだけ面積の差があれば、ため池の数も多くなりますね。

瀬戸内地方では造船業がさかん

瀬戸内海は気候もおだやかで、海域の幅がせまく、水深も浅くて砂浜も多いため、うねりの影響を受けにくくなっています。そのため「波も少なくておだやか」という特徴があります。

この地形を利用して、造船業をおこなっている地域が多いですね。

波が少なくておだやかなため、造船ドックでクレーンなどを利用して組み立て、そこから進水し、試運転まで安全に進めやすいのです。

兵庫県神戸市、香川県坂出(さかいで)市、広島県呉(くれ)市は造船業が特にさかんなので、お子さんと確認してみてください。

ちなみに神戸港からは、神戸港付近を周遊するクルーズ船が出ており、川崎重工の造船所を間近で見られます。この付近は博物館や中華街、ショッピングモールなどもあり、1日中遊べるためおすすめです。

かつて軍港として栄えた呉市の港からもクルーズ船が出ており、こちらは間近で海上自衛隊の潜水艦や護衛艦などが見られ、ものすごい迫力です。

近くには潜水艦ミュージアムもあるため、旅行などで訪れてほしいスポットのひとつです。

まとめ

香川県といえばうどんですが、なぜうどんが有名なのかを調べると「水不足」が関係していることがわかります。

瀬戸内地方に造船業がさかんな市が多いのは、瀬戸内地方は天候がくずれにくく、波がおだやかな地形をしているからです。

このように見てみると、社会はいろいろな要素が“つながっている”ように感じませんか?

社会は暗記で覚えるのではありません。

先人たちの工夫や発見などをもとに、楽しく学ぶ教科なんですね。

ときには暗記の要素も必要かもしれませんが、まずは楽しんで勉強してほしいと思います。

今回はここまで。

世の中で出会う、すべてのことが社会科です。
親子で会話を楽しむ際に、ぜひ社会ネタも入れてみてください。

※記事の内容は執筆時点のものです

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