学習 連載 中学受験のツボ[社会編]

【小6社会/国会・内閣】じつは親子?国会と内閣のしくみ|中学受験のツボ[社会編]

専門家・プロ
2022年8月01日 吉崎 正明

保護者向けに中学受験の4教科のツボを解説。 社会編 吉崎正明先生池田良輔先生茂山起龍先生が担当します。
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国語算数理科

こんにちは。吉崎です。

今回のコラムは「国会・内閣について」です。身近なものにたとえて解説しますので、「国会と内閣は苦手」というお子さんにも共有してあげてください。

国会と内閣は「親子関係」

問題:国会・内閣という機関を親子関係にたとえると、どのようになりますか。

ア)国会:親 内閣:子
イ)国会:子 内閣:親

これは、私が授業で「国会・内閣」をあつかうときに、生徒へ質問しているものです。

実際の授業では、国民的アニメ「サザエさん」に登場する親子、サザエさんとタラちゃんにたとえて説明しています。このイメージこそが大切なのです。学習内容を身近なものに重ねるとイメージしやすく、思い出しやすくなります。

こちらの親子には、後々登場いただくとして、まずは先ほどの問題の答えです。

答え:
ア)国会:親 内閣:子

国会が親、内閣は子なんですね。

理由は、以下の2点を考えるとわかりやすいです。

1. 国会と内閣はどちらが先に成立する?
2. 国会と内閣の仕事の違いは何だろう?

それぞれについて、詳しく見ていきましょう。

どちらが先に成立する?

1. 国会と内閣はどちらが先に成立する?

以下の順序で、国会が先に成立します。

① 国会は国民によって「選挙」で選ばれる(国会が成立する)
② 国会のなかから、内閣総理大臣が「指名」される
③ 内閣総理大臣が国務大臣を「任命」する(内閣が成立する)

国民は、衆議院総選挙や参議院選挙で候補者に投票します。今年は7月10日に参議院選挙がありましたね。満18歳以上の有権者は、自らの考えで日本の未来を託したい候補者を決めて投票するのです。

そして、選挙で選ばれた人々によって国会が成立します。

国民全員で話し合う「直接民主制」は物理的にできない(国民全員なんて東京ドームにもディズニーランドにも入らない!)ので、日本では選挙で選ばれた代表者が話し合い、政治のあり方を決める「間接民主制」という形をとっています。

国会が成立したら、国会のなかで内閣総理大臣の指名がおこなわれます。内閣総理大臣になる条件のひとつには「国会議員であること」があります。国民は内閣総理大臣を決める指名選挙には参加しません。「代表者である国会議員に投票してもらう」形としているのですね。

国民 → 国会 → 内閣

こんな感じで国会が内閣を生み出すため「国会は親、内閣は子」というイメージを持つとよいのです。

親子なので「議院内閣制」という連帯責任の関係で結ばれているのもポイントです。

違いは何だろう?

2. 国会と内閣の仕事の違いは何だろう?

それぞれのおもな仕事をまとめると、以下の表のとおりです。

  国会 内閣
法律の制定 法律や予算にもとづき政治をおこなう
予算の議決 予算案の作成
条約の承認 条約の締結
内閣総理大臣の指名 天皇の国事行為に助言と承認
弾劾裁判 最高裁判所長官の指名

とくに①から③までは、親子関係がイメージしやすいですね。違う仕事をしていますが、決して無関係とは言えない「連帯責任」の関係にあります。

① 親(国会)が「おやつは3時から食べていい法律」をつくったら、子(内閣)はきちんと法律を守ります。

② 子(内閣)が「お小遣い100円でコーラを買う」案を作成しても、親(国会)の審議によって「コーラはだめよ!かわりに、駄菓子屋さんで30円までお菓子を買っていいわよ!」となる場合があるのですね。

③ 子(内閣)が、お友達と遊ぶ約束をしたとします。家庭を「国内」と考えると、お友達は「外国」。外国との約束は「条約」ですね。つまり、お友達と遊ぶ約束をした子(内閣)は、外国と「条約」を締結したわけです。それに対し、親(国会)は「公園で遊ぶのなら大丈夫ね」といい、お友達と締結した約束「条約」を承認します。これが「友達とジャングルへ行く」だったら、親(国会)は条約の承認はせず、引き止めるでしょうね。

このように、子(内閣)の政治を信頼しながら、親(国会)もルールを整えて支え合っているのです。まさに保護者の方と、受験勉強に励んでいるお子さんのようなイメージですね。

国会と内閣は、まるでサザエさんとタラちゃんのような親子の関係です。イメージしやすさは受験生にも好評でしたので、ぜひ国会・内閣が苦手なお子さんにも紹介してあげてください。

世の中にあるすべてのことが社会科です。
親子で会話を楽しむ際に、ぜひ社会ネタも入れてみてください。

※記事の内容は執筆時点のものです

吉崎 正明
この記事の著者
吉崎 正明 専門家・プロ

現役塾講師。都内中学受験塾で社会・国語を担当。12年間在籍した大手進学塾では中学受験難関選抜ゼミ担当を歴任、社内数千名が出場する「授業力コンテスト全国大会」で優勝経験あり。その後家庭教師を経験し、2019年より現在に至る。指導方針は「正しい学習姿勢で、楽しく成績を伸ばす」。また、社会では「センス不要。イメージを作って考える」授業を実践しており、中学受験ナビでも「イメージで覚える中学受験歴史」を執筆。茨城県行方市出身。