
【小6理科/電流と発熱】「発熱量を比較する問題」の解き方|中学受験のツボ[理科編]
こんにちは、理科講師兼学習アドバイザーの山崎です。
今回のテーマは、発熱量。
物理分野の単元ですが、このテーマの授業をしていると「計算があるから苦手」と話す子を多く見かけます。「覚えるだけだから得意! 好きだから得意!」とテストに臨む子が多い生物分野とは対照的です。
家で勉強したり、塾の宿題で困ったりしている子に教えてあげたいけど、どう教えればいいかわからない……という親御さんの声もよく耳にしますので、今回は「発熱量を比較する問題」を解くときに、どのような手順で考えていけば良いかを解説します。
電気抵抗
発熱量を正しく理解するために、まずは電気抵抗についておさらいしましょう。
電気抵抗は、「抵抗の長さ」に比例して、「断面積」に反比例します。
電流は目に見えないので、イメージしやすいように“川の流れ”を考えてみましょう。
抵抗は、川にある「岩」。進みにくいと感じる場合は、抵抗が大きいということです。
入口が広い道と狭い道は、どっちが進みにくいですか?
そう、入口が狭いほうが進みにくいですよね。
つまり、断面積が小さいほうが抵抗は大きいということ。
逆にいえば、入口が広いほうが進みやすい、つまり断面積が大きいほうが抵抗は小さいということになります。
次に、岩がある道を想像してみましょう。
長い距離にわたって岩がある道と、岩があるのは短い距離だけでそのあとは何もない道。
ふたつの道を比べると、進みにくいのはどちらでしょうか?
障害物の岩が長い距離にわたって置かれていると、抵抗の長さは大きくなります。
そのぶん進みにくくなるので「抵抗は大きい」といえますね。
電気抵抗については「【小6理科/電気】電気回路を理解するための3つの約束」でも解説しているので、参考にしてみてください。
発熱量の求め方
電流による発熱量の求め方は、以下のとおりです、
発熱量(ジュール)=電力(ワット)×時間(秒)
電力(ワット)=電流(アンペア)×電圧(ボルト)
この式から、次のことがいえます。
- 電力が大きいほど、発熱量は多い
- 時間が長いほど、発熱量は多い
電力は、電流の大きさや電圧の大きさに比例します。
そのため次の関係性が見られます。
- 電流が大きいほど、電力は上がる
- 電圧が大きいほど、電力は上がる
オームの法則も確認しておきましょう。
重要な知識なので、正確に理解しておいてください。
電圧(ボルト)=電流(アンペア)×抵抗(オーム)
発熱量の比較
並列つなぎでは、電気抵抗の小さい電熱線ほど大きい電流が流れる。そのため、発熱量は大きくなる。
直列つなぎでは、流れる電流の大きさは同じ。そのため、電気抵抗の大きい電熱線ほど発熱量は大きくなる。
並列つなぎでは、電熱線にかかる電圧はそれぞれ同じになります。オームの法則(電圧=電流×抵抗)により、抵抗が小さいほど電流は大きいため、抵抗の小さいほうが電力は大きくなり、発熱量も大きくなります。
直列つなぎでは流れる電流が同じなので、オームの法則により、電気抵抗が大きいほど電圧が大きくなります。よって、電気抵抗の大きい電熱線ほど発熱量は大きくなります。
発熱量を比較する問題
発熱量を比較する問題を解いてみましょう。
問題1
問題1
長さの異なる電熱線を直列につなぎました。長い電熱線と短い電熱線のうち、発熱量が多いのはどちらでしょうか。
答え:長い電熱線
電熱線が長いと……
→ 抵抗が大きい
→ かかる電圧が大きい
→ 電力が大きい
→ 発熱量が多い
問題2
問題2
長さの異なる電熱線を並列につなぎました。長い電熱線と短い電熱線のうち、発熱量が多いのはどちらでしょうか。
答え:短い電熱線
電熱線が短いと……
→ 抵抗が小さい
→ 流れる電流が大きい
→ 電力が大きい
→ 発熱量が多い
問題3
問題3
太さの異なる電熱線を直列につなぎました。太い電熱線と細い電熱線のうち、発熱量が多いのはどちらでしょうか。
答え:細い電熱線
電熱線が細いと……
→ 抵抗が大きい
→ かかる電圧が大きい
→ 電力が大きい
→ 発熱量が多い
問題4
問題4
太さの異なる電熱線を並列につなぎました。太い電熱線と細い電熱線のうち、発熱量が多いのはどちらでしょうか。
答え:太い電熱線
電熱線が太いと……
→ 抵抗が小さい
→ 流れる電流が大きい
→ 電力が大きい
→ 発熱量が多い
※記事の内容は執筆時点のものです
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