学習 連載 中学受験のツボ[理科編]

【小6理科/電流と発熱】「発熱量を比較する問題」の解き方|中学受験のツボ[理科編]

専門家・プロ
2023年5月11日 山崎翔平

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保護者向けに中学受験の4教科のツボを解説。 理科編伊丹龍義先生山崎翔平先生が担当します。
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国語算数社会

こんにちは、理科講師兼学習アドバイザーの山崎です。

今回のテーマは、発熱量

物理分野の単元ですが、このテーマの授業をしていると「計算があるから苦手」と話す子を多く見かけます。「覚えるだけだから得意! 好きだから得意!」とテストに臨む子が多い生物分野とは対照的です。

家で勉強したり、塾の宿題で困ったりしている子に教えてあげたいけど、どう教えればいいかわからない……という親御さんの声もよく耳にしますので、今回は「発熱量を比較する問題」を解くときに、どのような手順で考えていけば良いかを解説します。

電気抵抗

発熱量を正しく理解するために、まずは電気抵抗についておさらいしましょう。

電気抵抗は、「抵抗の長さ」に比例して、「断面積」に反比例します

 

電流は目に見えないので、イメージしやすいように“川の流れ”を考えてみましょう。

抵抗は、川にある「岩」。進みにくいと感じる場合は、抵抗が大きいということです。

 

入口が広い道と狭い道は、どっちが進みにくいですか?

 

そう、入口が狭いほうが進みにくいですよね。

つまり、断面積が小さいほうが抵抗は大きいということ。

逆にいえば、入口が広いほうが進みやすい、つまり断面積が大きいほうが抵抗は小さいということになります。

 

次に、岩がある道を想像してみましょう。

長い距離にわたって岩がある道と、岩があるのは短い距離だけでそのあとは何もない道。

ふたつの道を比べると、進みにくいのはどちらでしょうか?

 

障害物の岩が長い距離にわたって置かれていると、抵抗の長さは大きくなります。

そのぶん進みにくくなるので「抵抗は大きい」といえますね。

 

電気抵抗については「【小6理科/電気】電気回路を理解するための3つの約束」でも解説しているので、参考にしてみてください。

発熱量の求め方

電流による発熱量の求め方は、以下のとおりです、

発熱量(ジュール)=電力(ワット)×時間(秒)
電力(ワット)=電流(アンペア)×電圧(ボルト)

 

この式から、次のことがいえます。

  • 電力が大きいほど、発熱量は多い
  • 時間が長いほど、発熱量は多い

 

電力は、電流の大きさや電圧の大きさに比例します。

そのため次の関係性が見られます。

  • 電流が大きいほど、電力は上がる
  • 電圧が大きいほど、電力は上がる

 

オームの法則も確認しておきましょう。

重要な知識なので、正確に理解しておいてください。

電圧(ボルト)=電流(アンペア)×抵抗(オーム)

 

発熱量の比較

並列つなぎでは、電気抵抗の小さい電熱線ほど大きい電流が流れる。そのため、発熱量は大きくなる

直列つなぎでは、流れる電流の大きさは同じ。そのため、電気抵抗の大きい電熱線ほど発熱量は大きくなる

並列つなぎでは、電熱線にかかる電圧はそれぞれ同じになります。オームの法則(電圧=電流×抵抗)により、抵抗が小さいほど電流は大きいため、抵抗の小さいほうが電力は大きくなり、発熱量も大きくなります

直列つなぎでは流れる電流が同じなので、オームの法則により、電気抵抗が大きいほど電圧が大きくなります。よって、電気抵抗の大きい電熱線ほど発熱量は大きくなります

発熱量を比較する問題

発熱量を比較する問題を解いてみましょう。

問題1

問題1

長さの異なる電熱線を直列につなぎました。長い電熱線と短い電熱線のうち、発熱量が多いのはどちらでしょうか。

 

 

 

答え:長い電熱線

 

電熱線が長いと……

→ 抵抗が大きい
→ かかる電圧が大きい
→ 電力が大きい
→ 発熱量が多い

 

問題2

問題2

長さの異なる電熱線を並列につなぎました。長い電熱線と短い電熱線のうち、発熱量が多いのはどちらでしょうか。

 

 

 

答え:短い電熱線

 

電熱線が短いと……

→ 抵抗が小さい
→ 流れる電流が大きい
→ 電力が大きい
→ 発熱量が多い

 

問題3

問題3

太さの異なる電熱線を直列につなぎました。太い電熱線と細い電熱線のうち、発熱量が多いのはどちらでしょうか。

 

 

 

答え:細い電熱線

 

電熱線が細いと……

→ 抵抗が大きい
→ かかる電圧が大きい
→ 電力が大きい
→ 発熱量が多い

 

問題4

問題4

太さの異なる電熱線を並列につなぎました。太い電熱線と細い電熱線のうち、発熱量が多いのはどちらでしょうか。

 

 

 

答え:太い電熱線

 

電熱線が太いと……

→ 抵抗が小さい
→ 流れる電流が大きい
→ 電力が大きい
→ 発熱量が多い

 

※記事の内容は執筆時点のものです

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山崎翔平

山崎翔平

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  • この記事の著者

SRP教育研究所 学習アドバイザー。(株)amici 学習アドバイザー。元アオイゼミ講師。首都圏および九州の学習塾などで理科の指導をする傍ら、学習アドバイザーとして、学習方法や学習習慣づけの指導も行っている。 高校受験、中高一貫校、大学受験、医学部受験も担当とし、小学校範囲にとどまらない、小中高一貫指導を得意とする。 「なぜ」を大切にし、身のまわりの現象を「ひもとき」体系的に指導し、楽しくなきゃ勉強ではない、続けることが大事だというのがモットー。