【小6理科/生物】植物分野の総まとめ[2]植物の芽生えと成長|中学受験のツボ[理科編]
みなさん、こんにちは!
理科講師兼受験アドバイザーの山崎です。
前回に引き続き、受験学年の6年生が押さえておきたい「植物分野」のポイントを紹介します。
植物は、私たちのまわりにある自然の一部でもあり、子供たちにとっても身近な存在です。
でも、植物がどのように芽生え、成長し、働いているのかについて、詳しく知っている子は少ないかもしれません。
そこで今回は、植物分野の総まとめ2回目として、植物の芽生えと成長の過程、そして植物がどのような働きをしているのかについて解説します。
>> 第1回目(植物の分類)はこちら
植物の芽生え
植物の芽生えに欠かせないのが「種子」です。
種子は植物が子孫を残すための器官で、光合成でつくられた養分をたくわえ、発芽のための準備をしています。
種子のつくり
植物が新しい生命を育むために、種子は“小さなパッケージ”のようなつくりをしています。
具体的には、次の3つの主要な部分が含まれています。
- 胚(はい)
- 胚乳(はいにゅう)
- 種皮(しゅひ)
胚は、新しい植物の赤ちゃんのようなもので、根や茎、葉のもとになる部分です。
胚乳は発芽をするための栄養源で、種皮は外部から胚を守っています。
有胚乳種子と無胚乳種子
種子には、有胚乳種子と無胚乳種子の2種類があります。
トウモロコシやコメなどに見られる有胚乳種子には胚乳が多く含まれており、発芽時に必要な栄養を供給します。
一方、エンドウやダイズなどに見られる無胚乳種子には胚乳がなく、胚に栄養が蓄えられています。
種子の養分
種子のなかには、発芽するために必要なエネルギーが、デンプン・タンパク質・脂肪などの形で蓄えられています。
まるで、お子さんのお弁当に入っている、栄養たっぷりの食べ物みたいですね。
種子の発芽
種子が発芽するためには、主に次の3つが必要です。
- 水
- 適度な温度
- 酸素
この3つがそろうと、種子は目を覚まし、成長を始めます。
発芽の過程は、以下の順で進みます。
吸水
↓
酵素の活性化
↓
根の発生
↓
茎と葉の発生
芽生えのようす
芽生えの段階では、根がしっかりと土に根付き、茎が空に向かって伸びていきます。
根の先端には「成長点」と呼ばれる部分があり、この成長点で新しい細胞がつくられ、根が伸びていきます。
成長点は特に活発に細胞分裂をおこなう部分で、根の先端に近いところに位置しています。
<ジャガイモやサツマイモの増え方>
ジャガイモやサツマイモは種子ではなく、地下茎や根で増えます。ジャガイモは茎が土のなかで大きくなり、サツマイモは根が太くなって増えていくんですね。
これらの植物は「塊茎(かいけい)」という特別な方法で増やせます。家庭菜園でも育てやすいので、ぜひ試してみてください。
植物の成長
植物の成長に必要なものは何だと思いますか?
学校や家で植物を育てたことがある場合は、それを思い出してみましょう。
成長の条件
植物が元気に成長するためには、いくつかの大切な条件があります。
<光>
光は植物のエネルギー源ともいえるもので、光合成をするために必要です
<水>
根から吸収された水は、茎の道管を通り、からだ全体に運ばれます。葉へ運ばれた水は、光合成の材料として使われます
<温度>
適切な温度は、植物の成長を助けます(植物それぞれにおいて適当な生育温度が必要です)
<肥料>
植物の成長には、土壌から吸収される窒素・リン・カリウムなどの肥料が必要です
<空気>
空気には、植物が呼吸するための酸素と、光合成に必要な二酸化炭素が含まれています。二酸化炭素の濃度が高いほど、光合成は活発におこなわれます。また、植物は一日中呼吸をしています
植物のはたらき
最後に、植物のはたらきについて見ていきましょう。
光合成
光合成は、植物が太陽の光を使って食べ物をつくるプロセスです。
葉っぱのなかにある「葉緑体(ようりょくたい)」が光を吸収し、二酸化炭素と水からグルコース(糖)と酸素をつくります。
これはまるで、植物が自分でご飯をつくるようなものです。
呼吸
呼吸は、植物がエネルギーを得るためのプロセスです。
グルコースを酸素といっしょに分解して、エネルギーをつくり出します。このエネルギーは、成長や、ほかの活動に使われます。
呼吸は昼も夜も休まずにおこなわれていることからも、植物は常に活動しているのです。
蒸散
蒸散(じょうさん)は、植物が葉の気孔(きこう)から水蒸気を出す現象です。
蒸散は、植物の体温を調整し、水分を吸収するうえで役立ちます。
お子さんといっしょに葉っぱの裏を観察すると、気孔を見つけられるかもしれません。
まとめ
植物の芽生えから成長、そして働きまでを学ぶことは、とても興味深い体験となります。
種子のなかで何が起こっているかを知ること。
芽生えの過程や、成長に必要な条件、植物がどのように食べ物をつくり、呼吸し、水を蒸発させているかを知ること。
こうした学習を通じて、“自然の不思議”にも触れることができます。
お子さんといっしょに植物を観察し、その成長を見守ることで、より深い理解と興味を育むこともでるでしょう。
※記事の内容は執筆時点のものです
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