中学受験ノウハウ 連載 発達障害&グレーゾーンの中学受験

#1 子供に発達障害の特性があることは、どの段階でわかりましたか? ―― 親子で乗り越えた、発達障害&グレーゾーンの中学受験

2019年5月31日 市川 いずみ

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発達障害&グレーゾーンの息子と中学受験に挑戦し、志望校合格を果たした市川家の中学受験録。どのように中学受験を乗り越えたのか、親子奮闘の軌跡をQ&A形式で聞きます。

#0はじめまして ─── 著者(市川いずみ)の自己紹介

Question #1

子供に発達障害の特性があることは、どの段階でわかりましたか?

Answer #1

習い事から発達障害の特性が見えました

「いま気になっていること」が最優先

息子の発達障害・グレーゾーンの特性は、子供が通っていた習い事から垣間見えていました。「これ!」という明確な決め手はなかったのですが、いま思い返すと「あれは発達障害特有の特性だったのかな」と思い当たることがいくつかあるんですね。

たとえば水泳教室に通っていたときは、「夢中になると周囲が見えなくなる」「水遊びがやめられない」という特性がすでに現れていたように思います。息子は泳ぎの順番待ちのあいだ、ビート板を水に沈めてポコッと浮きあがらせる遊びに夢中だったことがあったんです。わたしと目があうと、すごく楽しそうにやっていることを伝えようとしてきます。ちなみにわたしは、「泳いで!」とガラス越しに必死にジェスチャーで合図を送っていました。

息子にとって「いまは泳ぐとき」ということよりも、「いま自分が気になったこと」が最優先だったようです。しかもこれが一度や二度ではありません。コーチからお叱りを受けるくらい、やらかしてくれるんです。

良くいえば、好奇心旺盛。「ふしぎな発見」をわたしに教えたかったのだと思います。水泳の練習中だということは、息子には関係なかったんですね。

自分のやり方にこだわりがあり、納得しないと聞き入れない

お買い物に行ったとき、「レジの人がお釣りを返してくれるまえに金額を暗算する」ということに息子は興味をもっていました。そこでケタ数の多い計算や、かけ算・わり算などの暗算が得意になればいいなと思い、そろばん教室へ通わせました。

通い始めて数日後、そろばん教室の先生から1本の電話が。

「息子さんが『そろばんを使うと面倒だから使いたくない』といって、そろばんをやろうとしません。続けるかどうか考え直されてみてはいかがでしょうか」といった内容の話で、わたしはびっくり仰天。

このエピソードは、小学校1年生のときのことです。自分のやり方にこだわりがあり、「いま困っていないからやらない」という息子の意志は、この当時からハッキリしていました。「このさき必要になることだよ」とわたしがいっても、聞き入れません。ちょっと先のことを、考えようとしないんです。損得を考えず、自分が失敗したり困ったりしてから聞き入れる……。これは、息子が中学生になってからも、変わっていません。

自分から進んでやりたい習い事は集中

習い事をさせる目的は、「子供に上達してほしい」「得意を伸ばしたい」「できるようになってほしい」という親の想いがあると思います。しかし、わたしの息子には「上達しよう」という意欲はなく、やらされている感覚になると我慢をせずに現実から逃げます。ある意味ではわかりやすかったので、向いていない習い事はキッパリとやめました。

一方で、「理科が好きだから実験したい」と息子自ら実験教室の習い事を希望したことがありました。先生に自分から質問する積極性や集中力、そして知識の吸収力は親のわたしも目を見張るほど。実験教室は、はじめて充実していると思えた習い事です。

過度な期待をせず、子供がやりたいことを見つける

だれだって、やりたくないことはあります。息子の場合は、誰かにやらされているものを「我慢して取り組む」というハードルが明らかに高いなと感じました。

そんなときは「子供に過度な期待をしない」というのも、わたしにとっては必要な考え方でした。あわない習い事はやめて、子供がやりたいことを見つけるほうが、ずっと力がつくこともあるんですね。

ちなみに実験教室の楽しさがきっかけとなり、息子は中学受験で進みたい道を見つけました。

※記事の内容は個人の経験談です


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※記事の内容は執筆時点のものです

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