中学受験ノウハウ 連載 発達障害&グレーゾーンの中学受験

#9 子供が苦手なことに対して、どんな対策をとりましたか? ―― 親子で乗り越えた、発達障害&グレーゾーンの中学受験

2019年8月20日 市川 いずみ

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発達障害&グレーゾーンの息子と中学受験に挑戦し、志望校合格を果たした市川家の中学受験録。どのように中学受験を乗り越えたのか、親子奮闘の軌跡をQ&A形式で聞きます。

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Question #9

子供が苦手なことに対して、どんな対策をとりましたか?

Answer #8

苦手な国語は徹底的に過去問を解き、モノの管理は工夫を重ねながらサポートしました

発達障害を抱える息子は、我慢することができず、イヤなことから逃げてしまうタイプです。小学校のときは算数や理科が好きだったので、自分から進んで勉強をしていましたが、苦手科目だった国語は、入試直前までかなり苦しみました。日常生活では、モノの管理や整理が苦手で、中学生になった今でも四苦八苦しています。

“国語恐怖症”の息子と、悪戦苦闘する毎日

国語を大の苦手としていた息子でしたが、塾に行くようになると、改めて息子の国語嫌いを目の当たりにしました。国語テストの解答用紙がほぼ真っ白ということが多く、とくに記述問題には手もつけないんです。漢字は、似ているけれど微妙に違う……。息子は、国語の勉強から逃げてしまう、”国語恐怖症”のような状態でした。

【国語嫌いの息子から見えた特性】
・漢字を書くのが嫌い(コツコツと練習できない)
・記述を書けない(考え過ぎてまとまらない)
・登場人物の感情を深く読み取れない(人の気持ちを理解しにくい)
・いくら言っても文章に線を引かない(何が大事かわかろうとしない)

記述問題が少ない学校の過去問をひたすら解いた

6年生のとき、息子は気持ちの切り替えができなくなり、塾に行けなくなったことがあります。国語の授業に出席できないあいだは、家で国語を勉強しましたが、息子のなかで苦手意識がぬぐえず、国語の成績は平均点よりずっと下で、いつも悩みのタネでした。

そこで、志望校選びのときに、その学校の「国語の入試問題」をチェックすることにしました。記述問題が多い学校は、息子にとって負担で、難しいと思ったからです。幸いにも、第1志望校の国語の問題には記述がありませんでしたが、息子はひたすら国語の過去問になんとか取り組んでいました。

過去問を解いているうちにコツをつかんだようで、入試直前になると国語は平均点を超えるようになり、わたしは胸をなで下ろしました。本番でも、国語が足を引っ張ることはありませんでした。

わが家の国語対策[1]「国語のコツ」の本を使い、読解特訓

息子は国語の問題を解くとき、国語の文章をなんとなく読んで、質問に答えているように見えました。「読解」と呼べるものではなかったんですね。そこで、「国語のコツ」に関する本や読解のドリルを買い、息子とやりとりしながら特訓しました。

 

 

わが家の国語対策[2] 漢字の勉強に電子辞書を活用

コツコツと字を書くことが苦手な息子にとって、漢字は天敵でした。しかし、電子辞書を使うようになってからは、漢字に興味を持ち始めるようになります。「書く」という練習量は圧倒的に少なかったですが、電子辞書で漢字を検索し、意味を調べたり、漢字を拡大してみたりするようになりました。

中学受験生のなかで、電子辞書を使っている子は少なくないという話を聞きます。小学生モデルのコンパクトで使いやすい電子辞書もあり、情報量が多く、タッチペンで字を書くこともできるので、使いこなすと便利なアイテムです。わが家では、息子が漢字に興味をもってくれた、という点で大活躍でした。

社会は「暗記カード」を使って対策

息子は、社会も得意ではありませんでした。書いて覚える、ということがとにかく苦手だったんです。そのため、地理カード、歴史カードといったカードを使って暗記することにしました。

息子は、ムリに字を書こうとすると、ストレスからくる緊張なのか手汗がひどくなるため、わたしが問題を出し、息子が口頭で答えるというかたちで暗記の確認をしていました。

 

モノが管理できないことは、大きな悩みのタネだった

息子は、モノの管理が苦手でした。プリントや保護者あての手紙などは、忘れたころにいつもカバンから出てきます。小学校では、片づけをするときに慌ててしまい、どこに何があるのかわからなくなることも多かったようです。

息子が忘れないように「目立つ工夫」を重ねた

「手紙はこのファイルに入れてね」とルールを決めましたが、息子はそのファイルすら置き忘れてくることも……。わたしは、息子が提出物を忘れないように、ランドセルを開けたらすぐ見える位置に貼り紙をしたり、大きいクリップで提出物を挟んでみたり、とにかく目立つ工夫を重ねました。本当に大事なことや忘れてほしくないことは、筆箱のなかに付箋を貼ったこともあります。

まわりの親御さんからの情報に助けられつつ、「明日は学校で何するの?」「そろそろ何か必要じゃないの?」と、息子から聞き出すようにしていました。

中学生になって、モノを管理する大切さにようやく気づいてくれた

ちなみに、中学生になった今でも、息子はモノの管理に苦労しています。中高一貫校のため、勉強の進度がはやく、教科書よりもプリントを使った授業が多いんですが、息子はテストの直前になって慌ててプリントをかき集めています……。テストのあとに、探していたプリントが発見されることも度々です。

息子なりの工夫として、仕切りがついたクリアファイルにプリントをとりあえず入れておき、あとで整理するようになりました。「授業のプリントは忘れない!」「これはクリアファイルから出さない!」と、自分なりのルールをつくって管理しているようです。

小学校のときは、息子にとって関係のない手紙などが多かったからか、モノを管理することに全く責任感がありませんでした。しかし、中学生になって、「整理しておかないと自分が痛い目にあう」と分かるようになったことで、モノを管理することの大切さに気づいたようです。

親が覚悟を決めたことで、子供の苦手意識は減っていった

中学受験に挑戦していたときは、親として息子の苦手科目を放っておくことはできませんでした。

短期間ですが、個別指導で国語を見てもらったこともあります。しかし、解き方のコツを教えるのではなく、息子の解答にアドバイスするという教え方だったので、息子が抱えている問題の根本的な対策とはなりませんでした。また、息子が通っていたのは集団塾だったため、息子1人に対し、先生にイチから国語の指導をしてもらうこともできません。

息子は気分で動くタイプで、”逃げモード”になってしまうと、本当に何もしないことが日常茶飯事。時間だけが過ぎ、「このままだと入試問題に太刀打ちできなくなるかも……」という不安が日に日に増していました。

そこで、国語の苦手意識を少しでも軽くしようと、親子で国語対策に取り組むことに。わたし自身も国語は苦手でしたが、塾任せにせず、出来る限りのことをしました。「家庭学習でも対策をする!」と決めてからは、少しずつ息子の国語の成長を感じられるようになりました。

息子にとって、モノの管理に関しては、まだまだ苦労すことなのかなと思います。でも、自分で工夫することを少しずつ学んでいるようなので、親がつきっきりになることなく、時々確認しながら、声をかけていこうと思っています。

※記事の内容は個人の経験談です


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※記事の内容は執筆時点のものです

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